探偵に調査を依頼する際の注意点として、まず費用が適正か確認することが重要です。探偵費用は慰謝料で全額回収できないことが多く、費用が高額だと弁護士費用を捻出できなくなる恐れもあります。また、依頼内容を確認し、適切な証拠を収集できるか事前に確認すべきです。写真が不十分だったり、不必要な調査を行う業者も存在します。証拠の有効性や調査内容の妥当性については、弁護士に相談することを推奨します。
配偶者の不倫を疑ったら、まずは弁護士にご相談を
配偶者の不倫を疑っているとき、誰に相談すればいいのでしょうか。
このような場合、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
もしかすると、探偵、という言葉が思い浮かぶかもしれません。
探偵は、依頼に基づいて、聞き込み、尾行、張込みなどで、特定の人の所在や行動に関する情報を収集したり、調査するプロですが、慰謝料請求のプロではありません。探偵は、不倫相手や不倫をした配偶者と交渉することはできないのです。
これに対して、弁護士は、不倫相手や不倫をした配偶者と交渉することができます。
また、弁護士は、裁判をすることができるため、交渉の段階から裁判を見据えた対応をすることができます。そのため、どのような証拠が必要なのか、その証拠をどのように収集すべきかといった点についても、アドバイスをすることができます。
手持ちの証拠がなく、探偵に証拠収集を依頼すべきかどうか迷っている場合も、まずは弁護士に相談すべきです。
既に証拠が揃っており、探偵に証拠の収集を依頼する必要がない場合もあります。
例えば、ラブホテルに出入りしている写真、肉体関係があることが分かる会話等の録音データ、LINEのやりとり、マッチングアプリでのやりとり、不倫相手が自宅に出入りするインターフォンの映像、ドライブレコーダーの映像、カーナビの検索履歴等を持っている場合です。
弁護士は、訴訟のエキスパートですので、手持ちの証拠が不倫(不貞)を立証する上で十分かどうかについて判断することができます。手持ちの証拠がどれだけの価値や意味を持つかについて、プロの目で判断し、手持ちの証拠だけでは不十分な場合には、追加でどのような証拠が必要かについて、的確なアドバイスをすることができます。
探偵に調査を依頼する際に気を付けること
探偵に調査を依頼する際に、どのようなことに気を付けるべきでしょうか。
まず、気を付けるべき点は、探偵に支払う費用が適正かどうかです。
裁判をしても、探偵費用の請求が全額認められるということは、ほぼありません。探偵費用の全額を、不倫相手や不倫をした配偶者から回収することはできないと思っていただいた方がよいでしょう。
そのため、探偵に依頼する場合、調査の方法や内容によっては、探偵費用が、受け取れる慰謝料の額を超えてしまう場合があるのです。
探偵に多額の調査費用を支払ったことで、弁護士費用を捻出することできなくなってしまい、弁護士に慰謝料請求の手続を依頼したくてもできなくなってしまうといった事態も起こりえるのです。
次に、どのような証拠を収集する必要があるか、そのために探偵にはどのような調査を依頼する必要があるのかについて、あらかじめ確認しておく必要があります。
探偵に依頼したものの、探偵が撮影した写真では、いつ、誰と、どこで、何をしたかについて特定することができず、証拠として役に立たないものだった、という場合もあります。探偵が集めた資料では不倫相手の氏名や住所等の重要な情報が分からず、不倫相手に慰謝料を請求することができない、ということもあり得るのです。
また、中には、ラブホテルに出入りしている証拠は1回で十分なことが多いにもかかわらず、1回では不十分で、2回、3回は必要だなどと言って、必要のない調査を行う探偵業者もあるようです。
弁護士は、証拠の収集も含めた戦略を提案できますし、探偵の説明が正しいかどうかについても判断することができます。
配偶者の不倫を疑ったなら、まずは「弁護士」に相談することをおすすめします。
弁護士(岐阜県弁護士会)
愛知県立旭丘高校・慶應義塾大学卒業後、日本放送協会に入局し番組制作・取材に従事。同局退職後、東洋大法科大学院を経て弁護士に。
以来、離婚・男女問題、企業法務を中心に、地域密着の弁護士として活動しています。多治見さかえ法律事務所では、開業以来、男性の親権獲得ケースも複数関わっています。
岐阜県弁護士会の子どもの人権センターに所属し、児童虐待やいじめといった、子どもの権利に関する活動に積極的に携わっています。
令和4年から多治見市子どもの権利擁護委員を務めています(令和5年度は同代表委員)。岐阜県内の県立高校のいじめ重大事態の第三者委員会の委員に選ばれ、重大事態の調査を行うこともあります。