息子・娘の借金は、親が保証人でなければ返済義務はありません。しかし、息子・娘を助けてあげたい気持ちから親が肩代わりすると甘えが生じ、借金を繰り返す恐れがあります。多額の借金は弁護士に早めに相談し、息子・娘に対して感情的にならず冷静に対応することが大切です。未婚の子が借金を残して亡くなった場合は、相続放棄の手続を怠ると親が借金を相続してしまいますので注意が必要です。

息子・娘の借金問題に悩み、どうしたらよいか分からず、相談にいらっしゃる親御さんも多いです。

そこで、今回は、息子・娘の借金問題に関する親の対応について記載したいと思います。

親に息子・娘の借金の返済義務があるか

親が息子・娘の借金の保証人になっていない限り、親に息子・娘の借金を返済する義務はありません

しかしながら、親としての責任を感じたり、息子・娘を助けてあげたいという気持ちから、借金を肩代わりする親も珍しくありません。そうすることで、息子・娘が、親に申し訳ないと思って改心してくれれば良いのですが、息子・娘は反省することなく、再び借金を繰り返すケースが多いことから、借金を肩代わりすることはお勧めしません

親としてどのように対応すべきか

借金の額が大きく、息子・娘の収入から返済することが難しい場合には、すぐに弁護士に相談することをお勧めします。返済が遅れれば、遅延損害金がついてしまい、借金が雪だるまのように膨らんでしまうからです。

息子・娘のことを叱ったり、責めたくなる気持ちは分かります。しかしながら、息子・娘を叱ったり、責めたりしてしまうと、息子・娘は、親に怒られたくないという気持ちから、嘘をついたり、事実を隠そうとする可能性があり、そうなれば、事態はますます悪化してしまいます。ですから、感情的にならず、冷静に対応することが必要です。

また、親が息子・娘の借金を肩代わりしてしまうと、息子・娘は、「困ったことがあれば、親が何とかしてくれる。」と甘えてしまい、懲りずに借金を繰り返すことが多いです。息子・娘が借金をする度に親が肩代わりし、ついには、親が老後のために貯めていた預貯金、退職金、保険金等まで使い果たしてしまったことで、親子で生活に行き詰まってしまったというケースもありました。

息子・娘のためにも、甘やかすことなく、自分で返済させることが大切です。息子・娘が自力で返済できないほど借金が膨らんでしまった場合には、破産手続を取ることも含めて、自分で責任を取らせることを強くお勧めします。

息子・娘が借金を残して死亡した場合

独身で子どもがいない息子・娘が借金を残して死亡した場合、相続放棄の手続をしないと、相続人である親が借金を相続してしまいます。ですから、独身で子どもがいない息子・娘が借金を残して死亡した場合には、速やかに、息子・娘の最後の住所地の家庭裁判所で、相続放棄の手続を行ってください。

相続放棄は、息子・娘が借金を残して死亡したことを知った時から3か月以内に行う必要があるので、自分で手続を行うことが不安な方は、弁護士に依頼することをお勧めします。