令和2年6月5日に令和2年改正著作権法が成立し、その一部が10月1日から施行されました(残りは来年令和3年1月1日施行予定)ので、6つの主な改正点をご紹介します。
1 リーチサイト規制が強化されました
ネット上の海賊版対策強化の一環として、侵害コンテンツへのリンク情報等を集約してユーザーを侵害コンテンツに誘導する「リーチサイト」や「リーチアプリ」を規制するため、リーチサイト運営行為及びリーチアプリ提供行為を刑事罰の対象とするとともに、リーチサイト・リーチアプリにおいて侵害コンテンツへのリンク等を提供する行為を、著作権等を侵害する行為とみなし、刑事罰の対象としました。
2 写り込みが著作権侵害とならない範囲が拡大しました
スマホや動画コンテンツの作成の広まりに対応して、「写り込み」が著作権侵害とならない範囲が拡大しました。
これまで、「写真の撮影」「録音」「録画」に限定されていましたが、スクリーンショットや生配信など複製や伝達行為全般に拡大され、固定カメラでの撮影など創作性が認められない行為を行う場面での写り込みも対象となり、主たる被写体に付随する著作物であれば、分離が困難でないものも対象とすることとなりました。
ただし、分離の困難性の程度、付随対象著作物(写り込んだ著作物)が果たす役割その他の要素に照らし「正当な範囲内」の利用に限定されます。
3 著作物を利用する権利を第三者に対抗する制度が導入されました
たとえ、著作権者がその著作権を第三者に譲渡したとしても、著作権を譲り受けた者に対して、著作物を利用する権利を(登録などの手続きを経ることなく)当然に対抗することができるようになります。
4 著作権侵害コンテンツのダウンロードが違法となります
令和3年1月1日からは、違法にアップロードされた著作物のダウンロードはたとえ私的使用目的であっても違法とする対象が、音楽・映像から著作物全般に拡大されます。
もっとも、規制対象は、違法にアップロードされたことを知りながらダウンロードする場合に限定されており、スクリーンショットを行う際の写り込み、漫画の数コマなど軽微なもの、二次創作・パロディ、著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合のダウンロードは規制対象外となっています。刑事罰の対象は、正規版が有償で提供されている著作物を反復・継続してダウンロードする場合に限定されています。
5 ライセンス認証回避行為も違法となります
令和3年1月1日からは、不正なシリアルコードの提供等ライセンス認証を回避する行為は、著作権等を侵害する行為とみなされることとなります。
6 著作権侵害訴訟での証拠収集手続が拡充されます
令和3年1月1日からは、著作権侵害訴訟での証拠収集手続も拡充されることとなります。