婚約は将来的に婚姻関係を結ぶという2人の間での約束で、結納金の授受・婚約指輪のプレゼント・結婚式準備などがあれば成立と推認されます。正当な理由なく婚約破棄されれば慰謝料に加え、結婚式や新居準備、指輪・結納金等の実費を請求できます。妊娠中に破棄された場合、中絶費用と慰謝料、出産するなら認知と養育費を求められます。その他荷物放置など同棲解消トラブルも含め、早期に弁護士へ相談することが大切です。
婚約とは
婚約(婚姻予約)とは、将来的に婚姻関係を結ぶという2人の間での約束を意味します。大正時代の大審院の判例によると、婚約とは「将来において適法な婚姻をすることを目的とする契約」のことをいいます。
婚約破棄を理由に慰謝料等を請求する場合、そもそも、2人が婚約(婚姻予約)をしていたと言えるのかどうかが問題になるケースがあります。
双方が婚約していることを周囲に示していた場合や、結納金の授受、婚約指輪のプレゼント、結婚式・新婚旅行の準備など、2人の間で婚約があったことを推測させるような事実がある場合には、婚約があったといえそうです。
他方で、単に同棲していただけという場合には、婚約をしていたと言えない可能性があります。このような場合でも、同棲関係解消による荷物の引き取りや中絶トラブルなどで、弁護士に依頼してトラブルの解決を図ることが必要なケースもあります。
婚約破棄や同棲関係の解消でお悩みの場合は、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
婚約破棄による損害賠償請求
2人の間で婚約があったにもかかわらず、一方が他方に対して正当な理由なく婚約を破棄した場合、破棄した側は相手方に対して損害を賠償する義務を負います。
正当な理由なく婚約を破棄されたことによる精神的損害(慰謝料)と、財産的損害に対する賠償が考えられます。
財産的損害に対する賠償とは
財産的損害としては、次のようなものが考えられます。
結婚式や新婚旅行の準備をしている段階で婚約を破棄した場合には、結婚式場のキャンセル料、新婚旅行のキャンセル料が損害として挙げられます。
結婚を機に同居する準備をしていた場合には、新居の購入費用や賃貸費用、新生活のための家具・家電の購入費用が損害となる可能性があります。
婚約指輪や結婚指輪については、指輪を受け取った側(一般的には女性)に婚約破棄の原因がある場合、指輪を返還するか、購入費用相当額を支払う必要があります 。
他方で、指輪を贈った側(一般的には男性)に婚約破棄の原因がある場合、受け取った側に指輪を返還する義務はないため、指輪の返還を求めることはできません 。
結納金の授受があった場合
結納金の授受があった場合はどうでしょうか。
結納金とは、一般に婚姻することを前提に、男性側から女性側へ贈られる金品のことを指します。
女性側(またはその家族)に婚約破棄の原因がある場合や、双方の合意で結婚しない結論に至った場合は、女性側は男性側に結納金を返還することとなります。
男性側(またはその家族)に婚約破棄の原因がある場合、男性側は結納金の返還を求めることはできません。
妊娠した状態で婚約を破棄された場合
妊娠した状態で婚約を破棄された場合は、どのように対応するのがよいでしょうか。
中絶をする場合は、中絶費用と中絶を余儀なくされたことに対する慰謝料を請求することができます。
既に週数が進み、中絶が困難な時点で婚約を破棄され、やむなく相手の子を出産せざるを得なくなった場合や、宗教上の理由やその他の理由で、中絶をせず、相手の子を出産することを選択した場合は、相手に対して生まれてきた子どもを認知するよう請求し、認知されれば、養育費の支払いを請求することができます。
令和6年に改正された民法が施行(令和8年を予定)された後は、法定養育費制度といって父母の協議や調停・審判がなくとも、子どもが成年に達する日まで(又は父母間で協議・審判が確定する日まで)、毎月末に、法務省令で定める最低限の額(法定養育費)を支払うよう請求することができるようになります(改正後民法766条の3第1項準用、同民法788条)。
同棲を解消することになった場合
この他にも、婚約を破棄することになった場合や、婚約があったとまでは言えないが、同棲を解消することになった場合に、同棲先や新生活のために借りた賃貸物件に、相手の荷物が残されたまま引き取りに来ないというケースもあります。
このような場合には、弁護士に依頼して荷物を引き取るよう相手と交渉したり、弁護士立会いの下、荷物を引き取ることがあります。
婚約破棄や同棲解消の問題でお悩みの場合は、まずは弁護士に相談することをおすすめします。