ある女性との間で子どもができました。その女性とは、結婚やそれに準ずる関係になるつもりはないのですが、このたび、子どもの認知を求められてしまいました。

1 認知をすると、どのようなことが生じるのでしょうか?

第1に、認知をすることにより、少なくとも子どもが成人になるまで、養育費を支払う義務が発生します。

第2に、子どもとの間に親子関係が認められることで、子どもに第1順位の相続権が発生します。認知した子どもの相続分は、民法改正前は実子の2分の1でしたが、現在は実子と同じです。そのため、相続に備えて、子どもの遺留分を視野に入れた遺言書を作成することも必要になるでしょう。

2 認知を拒んだらどうなるでしょうか?

子どもの母親である女性から認知調停を申し立てられ、解決できなければ、認知の訴えを提起されます。
訴訟において、裁判所が親子関係があると判断すれば、強制的に認知の結果が生じることになります。
手続の中で、DNA鑑定が行われることが多いです。

3 自分の子どもだと確信が持てないのですが・・・

身に覚えがない場合や、自分の子どもだという確証が持てない場合は、交渉の段階や裁判所の手続の中でDNA鑑定を行い、親子関係の有無を判断することが考えられます。

4 相手の女性と会いたくないのですか・・・

弁護士に依頼するメリットの一つに、相手と直接やり取りしなくて済むという点が挙げられます。
相手の女性と会わずに解決したい場合は、男女問題や交際トラブルに精通した弁護士に依頼することをおすすめします。

5 家族にバレずに認知をすることは可能でしょうか?

認知は、あなたの意思のみで行うことができます。
ただし、認知の事実は、戸籍に載ります。つまり、あなたの戸籍に、子どもの本籍地、母親の氏名、子どもの氏名等が記載されるのです。そのため、あなたの妻子が戸籍を見れば、認知したことが分かってしまいます。
また、あなたが死亡した場合、遺言書を作成しておかなければ、あなたの妻子は、あなたが認知した子どもを交えて遺産分割協議をしなければならなくなります
このように、認知の事実を家族に隠し通すことはできないため、早めに伝えた方がよいのですが、家族に伝えれば、妻から不貞行為を理由に離婚や慰謝料の支払いを求められる可能性があります
こういった点を踏まえて、どのような対応が望ましいのか、弁護士と相談のうえ、対処していくことをおすすめします。