- 子どもの血液型が自分たち夫婦から生まれるはずがないタイプであることが発覚した。
- 妻と性行為をした時期と子どもが生まれた時期が合わない。
- 妻が生んだ子どもが全く自分に似ていない。
- 妻が子どもを授かった当時、妻が他の男性と不倫していたことが発覚した。
このような事情から、夫が疑問を抱いて子どもとDNA鑑定をした結果、夫と子どもの間に血縁関係がないことが明らかになった。
このように、妻が夫以外の男性との間にできた子どもを、夫の子どもと偽って、夫に育てさせる行為を「托卵」と呼ぶことがあります。カッコウなどの鳥が、他の鳥の巣に卵を産んで、代わりに育てさせる行為を「托卵」ということに由来しています。
今回は、妻の托卵行為が発覚した場合の法律関係について解説します。
1. 妻の托卵行為が発覚した場合、親子関係はどうなるか
妻が婚姻中に妊娠した子どもは、夫の子どもと推定されますし、妻が夫と婚姻する前に妊娠しても、婚姻後に生まれた場合は、夫の子どもと推定されます。そのため、夫と子どもの間に血縁関係がないことが判明しても、法律上の親子関係が生じることになります。
法律上の親子関係がある以上、父親として子どもを扶養する義務があることから、妻と離婚しても、子どもの養育費を支払う義務がありますし、夫の相続人として遺産を相続することになります。
子どもとの親子関係を解消するためには、嫡出否認や親子関係不存在確認の手続をとる必要があります。
嫡出否認の手続は、子どもの出生を知ってから3年以内という期間制限があるため、この期間を過ぎてしまうと利用することができません。
他方で、親子関係不存在確認の手続に期間制限はありませんが、嫡出子として推定されない子ども(婚姻前に妊娠した子ども等)との親子関係を否定する場合でないと利用することができません。
嫡出否認の手続の期間を過ぎてしまったり、親子関係不存在確認の手続ができる事情がない場合には、法律上の親子関係を解消することができません。
そのため、生物学上の親子関係がないことが明らかになっても、法律上は親子として扱われることから、妻と離婚しても、妻からの養育費請求が権利の濫用であるといった事情が認められない限り、養育費の支払いを拒むことはできません。
2 妻と離婚できるか
妻が婚姻中に夫以外の男性と性行為を行うことは、裁判上の離婚事由である「不貞行為」に該当します。
また、夫以外の男性と性行為を行なった時期が、夫と結婚する前であったとしても、他の男性との間にできた子どもを、夫の子どもと偽って夫に育てさせる行為は、離婚事由である「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。
ですから、夫が妻に対して不貞行為や托卵行為を理由に離婚を求めた場合、裁判所は離婚を認める可能性が高いといえます。
3 妻に対して慰謝料を請求できるか
妻が婚姻中に他の男性と性行為を行った場合、夫は妻に対して慰謝料を請求することができます。(この場合、不貞相手にも慰謝料を請求することができます。)
妻が不貞行為を行っただけでなく、不貞相手の子どもを妊娠・出産までしたことや、夫の子どもと偽って、他人の子どもを育てさせた行為は悪質性が高いといえることから、慰謝料の増額事由になるといえます。
4 最後に
自分の子どもだと信じて、愛情を注いで一生懸命育ててきたのに、妻の裏切り行為を知った時の精神的ダメージは計り知れないと思います。子どもに罪はないことを分かっているが故に、葛藤も大きく、感情的になってしまうのはやむを得ないと思います。
当事者間では感情的になってしまって、なかなか話し合いが進まないという場合には、速やかに離婚問題に詳しい弁護士にご相談いただくことをお勧めします。