<Aさんの場合>

Aさんは毎月、消費者金融への返済やクレジットカードの利用代金を支払うと給料がほとんど手元に残らないため、また消費者金融から借金をしたり、クレジットカードで買い物をしてしまうという自転車操業に陥っていました。任意整理をしたところ、毎月の返済額が抑えられたため、5年程で完済することができました。

<Bさんの場合>

Bさんは、消費者金融に20年以上前から借金(キャッシング)をし続けてきましたが、毎月の返済額のほとんどが利息に充てられてしまい、元金がなかなか減りませんでした。そこで、任意整理手続きをし、利息制限法による引き直し計算をしたところ、過払い金で借金がなくなり、お金が戻ってきました。

1.任意整理とは

任意整理とは、債権者と交渉して、将来利息のカットや長期分割弁済などの和解をする手続きです。自己破産や個人再生と違って裁判所は関与せず、費用や手続きの負担が比較的少なくて済むことから、債務整理手続きの中で最もよく利用されています。

ただし、任意整理は継続的に安定した収入を得られる方でないとできない手続きですので、ご注意ください。また、過払い金は平成22年より前から、消費者金融又は信販会社のキャッシングを利用していた方でないと発生しませんので、ご注意ください。

2.任意整理のメリット

①原則、将来利息をカットして支払総額を減らすため、完済時期が早まります。

将来利息の発生を原則ストップできるので、月の返済額のかなりの部分を利息で取られてしまい、元金がなかなか減らないといった状況を解消することができます。債権者と借金額にもよりますが、3年~5年程度で完済できるケースが多いです。

②信用情報機関に情報登録される期間(いわゆるブラックリスト入り)が5年程度で済みます。

自己破産・個人再生は7年~10年程度、信用情報機関に情報登録されますが(いわゆるブラックリスト入り)、任意整理はそれよりも短い期間で済みます。

③他人に知られずに手続きすることが可能です。

自己破産・個人再生と違って、官報に掲載されないので、他人に知られることなく手続きを行うことが可能です。

また、自己破産・個人再生と違って、同居の家族の収入資料などを提出する必要がないことから、同居の家族に知られるリスクも大きくありません。

④手続きを行う債権者を選択することができます。

自己破産・個人再生の場合は、全ての債権者に対して一斉に手続きをとりますが、任意整理の場合は手続きを行う債権者を選択することができます。

そのため、住宅ローン会社や自動車ローン会社、今後も使い続けたいクレジットカード会社を手続きから除外することが可能です。

もっとも、クレジットカード会社がクレジットカードの更新時に信用情報機関の情報(いわゆるブラックリスト)を確認し、クレジットカード利用者が任意整理手続きを行っていることを知られると、クレジットカードの更新をしないと判断され、クレジットカードが使えなくなるリスクがあります。

3.任意整理のデメリット

①5年程度、信用情報機関に情報登録されます(いわゆるブラックリスト入り)。

信用情報機関に情報登録されると(いわゆるブラックリスト入り)、新しくクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることが非常に難しくなります。また、手続きをしないクレジットカードであっても、更新の際に、信用情報機関の情報登録(いわゆるブラックリスト入り)を理由にクレジットカードを更新しないという判断をされ、クレジットカードが使えなくなるリスクがあります。

②過払い金がない限り、借金の額を大きく減らせるわけではないです。

将来発生する利息をカットすることはできても、既に発生してしまった利息や遅延損害金をカットすることは、ほぼできません。過払い金があれば、過払い金の分を差し引くよう交渉できますが、過払い金は平成22年より前からの取引でないと発生しないですし、消費者金融、信販会社以外の債権者の場合には存在しません。

③和解条件が厳しい業者ですと、月々の返済額が増えることがあります。

全ての債権者が3年~5年程度の長期分割払いに応じてくれるわけではありません。短期間の分割払いしか応じない債権者ですと、月々の返済額が増えることがあります。