個人の債務整理には、「任意整理」、「自己破産」、「個人再生」の3種類の手続があります。
借金の返済が難しくなってしまった場合には、放置などせず、速やかに債務整理手続を行った方がよいのですが、どの手続を選択したらよいのか分からないという人も多いと思います。
そこで、今回は、債務整理の手続を選択するポイントをお伝えいたします。

1 信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に登録される期間をできる限り短くしたい場合は?

信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に登録されると、金融機関からの借入れや、クレジットカードの使用・申込み、住宅ローン・オートローン等各種ローンの申込み等が難しくなります。
信用情報機関に登録される期間は、一般的に、任意整理が5年程度、自己破産と個人再生が7~10年程度と言われております。
ですから、信用情報機関に登録される期間をできる限り短くしたいという場合には、任意整理を検討することになります。

2 個人債権者(友人・知人・親族・勤務先等)を巻き込みたくない場合は?

任意整理は手続を行う債権者を選択できるのに対し、自己破産と個人再生は、全ての債権者に対して一斉に手続を行います。
ですから、友人・知人・親族・勤務先等から借入れをしており、個人債権者を巻き込みたくない場合には、任意整理を検討することになります。

3 借金のことを同居する家族に秘密にしたい場合は?

任意整理は手続を行う債権者と個別に交渉を行うのに対し、自己破産と個人再生は裁判所を通して行う手続となります。裁判所を通す手続の場合、家計を同一にする家族等の収入に関する資料や財産関係の資料を提出したり、毎月家計簿をつける必要があるため、家計を同一にする家族等の協力が不可欠となります。
ですから、借金のことを同居する家族に秘密にしたいという場合には、任意整理を検討することになります。

4 手放したくない財産がある場合は?

自己破産の場合、不動産や有価証券等、経済的再生に不可欠とはいえない財産を所有することは認められないのに対し、任意整理と個人再生の場合は、返済さえできれば、不動産や有価証券等の財産を持つことができます。
ですから、不動産や有価証券等、手放したくない財産がある場合には、任意整理と個人再生を検討することになります。

5 警備員、生命保険募集人等の職業に就いている場合は?

自己破産の場合、法令等の定めによる資格等の制限により、破産手続が終了するまでの間、就くことができない職業があります。代表的なものとしては、警備員や生命保険募集人が挙げられます。
ですから、破産手続が終了するまでの間、就くことができない職業に就いている方は、任意整理又は個人再生を検討することになります。

6 給料等の差押えを止めてもらいたい場合は?

債権者から給料や預貯金口座等の差押えを受けている場合、これを止めるためには、裁判所から破産手続又は再生手続の開始決定を出してもらう必要があります。
ですから、給料等の差押えを止めてもらいたいという場合には、自己破産又は個人再生を検討することになります。

どの手続を選択するかは、専門的な知識と経験が必要になるため、債務整理に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。どうにもならなくなった状態で相談しても、打つ手が限られてくるため、借金の返済が難しいと感じるようになったら、速やかに相談してください。