モラハラは男性も被害者となり得ます。モラハラ妻の特徴として、夫を罵倒する、無視する、嫉妬や束縛を強める、経済的や行動面で制限を加えるなどが挙げられます。これにより夫の自尊心が傷つけられ、精神的に追い詰められることが多いです。また、男性は「男らしさ」の概念や優しさから、被害を他人に相談できず、被害が拡大する傾向があります。早期に専門弁護士に相談することが重要です。
一般に、「モラハラ」というと、夫が妻に対して行うものと思われていますが、モラハラをするのは決して男性だけではありません。
妻からのモラハラに悩み、別居や離婚を決意し、弁護士のもとに駆け込む男性も少なくありません。
見るに見かねた親族が、妻からモラハラ被害を受け続ける男性と一緒に、事務所に相談にみえるケースもあります。
1.モラハラ妻の特徴
① 罵倒・文句
モラハラ妻の特徴の一つに、夫を罵倒したり、文句を言い、夫の自尊心を傷つけるというものがあります。
夫の収入に文句を言う、家事のやり方を批判する、夫の家族や友人等の悪口を言う、といったものが代表例です。
子どもに夫の悪口を吹き込んだり、子どもの面前で罵倒し、子どもと一丸となって責めたりすることもあります。
過去の失敗を何度も責め続ける場合もあります。
② 無視
無視をするというのもモラハラ妻の特徴の一つです。家に帰っても、無視される。話しかけても無視される、食事をはじめ様々な場面で、家庭に夫が存在しないものとして扱われる場合もあります。
本来、家庭とは心安らぐ場所のはずです。しかし、妻からのモラハラに苦しむ人は、家庭に居場所がないことが多いのです。
③ 激しい束縛・嫉妬
モラハラ妻は、夫に対し、激しい束縛や嫉妬をしがちです。
不貞をしてないのに不貞をしていると疑い続けることがあります。
GPS装置や位置情報アプリで監視される、常にスマートフォンをチェックされ、検索履歴、LINEのやり取りを調べられるといったことはないでしょうか。
また。少しでも帰りが遅いものなら、しつこく電話やメール、LINEが来て、場合によっては家に入れてもらえない、といったこともあります。
④ 様々な制限
モラハラ妻は、夫よりも優位に立ち夫を支配しようとします。
家計は全て妻が管理し、夫には僅かな生活費しか与えず、経済的に厳しい制限を加える、夫の両親や親族と会うことを制限する、という場合もあります。
以上のように、モラハラ妻は、夫に対し、罵倒、文句、無視、束縛、様々な制限など、夫の自尊心を傷つける言動を繰り返し、夫よりも優位に立ち、夫を支配しようとします。
そのため、妻からのモラハラに苦しむ男性は、モラハラ妻と別居することで、健康や自己肯定感を取り戻すことが多いのです。
男らしさの呪縛や優しさがさらなる被害を拡大させる
モラハラに苦しむ男性は、すぐに相談をせず、被害を拡大させてしまうことが多いのです。それはなぜでしょうか。
妻からのモラハラ被害を受ける男性たちの中には、自分の弱さを他の人に見せることは「男らしくない」として、誰にも相談せず、一人で抱え込み、苦しみ続ける場合があります。
また、モラハラ被害に苦しむ男性の多くは、優しい人、争いを好まない平和主義的な人です。そのため、弁護士に相談に来る頃には、被害が深刻になっていることが多いのです。
妻からのモラハラに悩むのは、決してあなただけではありません。
まずは、尊厳ある生活を取り戻すためにも、「妻からのモラハラ」や「モラハラ妻」の問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士(岐阜県弁護士会)
愛知県立旭丘高校・慶應義塾大学卒業後、日本放送協会に入局し番組制作・取材に従事。同局退職後、東洋大法科大学院を経て弁護士に。
以来、離婚・男女問題、企業法務を中心に、地域密着の弁護士として活動しています。多治見さかえ法律事務所では、開業以来、男性の親権獲得ケースも複数関わっています。
岐阜県弁護士会の子どもの人権センターに所属し、児童虐待やいじめといった、子どもの権利に関する活動に積極的に携わっています。
令和4年から多治見市子どもの権利擁護委員を務めています(令和5年度は同代表委員)。岐阜県内の県立高校のいじめ重大事態の第三者委員会の委員に選ばれ、重大事態の調査を行うこともあります。