モラハラのある家庭で育った子どもは、それを当たり前と認識し、被害者にも加害者にもなりうる危険性があります。モラハラ加害者は子どもにも暴言や暴力をふるい、子どもの自己肯定感や心身に悪影響を及ぼします。こうした経験をした子どもは、将来、モラハラ的な言動を自然と行ったり、逆にそれを受け入れてしまう可能性が高いです。子どもの健全な発達を守るため、モラハラが疑われる場合は専門家への相談が推奨されます。
モラハラが当たり前のものとして育つ
親の一方が他方に怒鳴ったり、ひどい言葉を浴びせる。家庭の中で、常に張り詰めた空気が漂う。
モラルハラスメント(モラハラ)のある家庭に生まれた子どもは、それを当たり前のものとして大人になっていきます。
子どももモラハラの被害者に
配偶者に対してモラハラをする人は、子どもに対しても、直接モラハラをすることがあります。つまり、子どもも、モラハラの直接的な被害者となるのです。
モラハラ加害者は、子どもが大きくなるについて、子どもにも暴言を吐いたり、しつけと称して子どもに暴力を振るうことがあります。
また、子どものことを無視する、冷淡な態度をとる、子どもの意見を否定する、子どもの自尊心を傷つけるようなことを言うこともあります。
これらの行為は、児童虐待(心理的虐待や身体的虐待)にも当たります。
こうした親の行為によって、子どもは、心身に不調を来たしたり、自己肯定感が低いまま大人になってしまうおそれがあります。
ストレスが外に向かう可能性
家庭内でモラハラを目の当たりにしたり、直接的なモラハラ被害を受けた子どもは、学校で、モラハラ加害者と同じように暴言を吐いたり、感情をうまくコントロールすることができず、人間関係にトラブルが生じてしまうことがあります。
将来、同じような子どもに育つ可能性
さらに、モラハラを当たり前のものとして育ってしまうため、交際相手にモラハラ的な言動をするモラハラ加害者になったり、逆に、交際相手のモラハラ的な言動に違和感を持たず、モラハラ被害者になってしまうおそれもあります。
モラハラのある家庭で育った子どもは、モラハラをすることにもされることにも、違和感を持たない傾向にあるのです。
モラハラは子どもの健全な発達に有害
このように、子どもが健全に育つ上でモラハラが行われる環境は決して好ましくありませんし、影響は大人になってからも続いてしまう場合があります。
夫や妻のモラハラにお悩みの方は、夫や妻が子どもに対してもモラハラをしていないか、今一度振り返ってみましょう。
そして、心当たりがある場合には、子どもに悪影響が及ぶ前に、モラハラに詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士(岐阜県弁護士会)
愛知県立旭丘高校・慶應義塾大学卒業後、日本放送協会に入局し番組制作・取材に従事。同局退職後、東洋大法科大学院を経て弁護士に。
以来、離婚・男女問題、企業法務を中心に、地域密着の弁護士として活動しています。多治見さかえ法律事務所では、開業以来、男性の親権獲得ケースも複数関わっています。
岐阜県弁護士会の子どもの人権センターに所属し、児童虐待やいじめといった、子どもの権利に関する活動に積極的に携わっています。
令和4年から多治見市子どもの権利擁護委員を務めています(令和5年度は同代表委員)。岐阜県内の県立高校のいじめ重大事態の第三者委員会の委員に選ばれ、重大事態の調査を行うこともあります。