調停の負担は決して軽いものではありません

調停委員は、夫婦のことを全く知らない第三者です。そのような人に対して、これまでの事情やご自身の主張を、簡潔に、的確に説明していかなければなりません。夫婦のことを知らない第三者に理解してもらえるように説明することは、精神的な負担となります。
また、人前で話すことに苦手意識をお持ちの方、相手方が弁が立つタイプで、調停委員がうまく丸め込まれてしまうのではないかと不安に感じる方にとって、調停は精神的な負担が大きいものとなります。
調停委員はあくまで中立的な立場の人です。調停委員は、双方の話に耳を傾けてくれますが、決してどちらかの味方になってくれるわけではないのです。
さらに、調停で顔を合わせる調停委員が法律の専門家ではない場合もあります。調停委員の知識が不正確であるにもかかわらず、調停委員の不確かな知識に話が引っ張られてしまう場合もあるのです。
また、相手方が弁護士をつけている場合、調停委員が相手方の弁護士の主張に引っ張られてしまう可能性もあります
調停への出頭を負担に感じる場合や、その場でうまく主張できるか不安な場合は、弁護士にご依頼されることをおすすめします。

言い分を伝えるだけで有利になるわけではありません

調停委員は、双方の話に耳を傾けてくれますが、決してどちらかの味方になってくれるわけではありません。ご自身の言い分を伝えるだけで、有利な結果が得られるわけではないのです。
婚姻費用や面会交流などについては、話し合いがまとまらず調停が不成立になると、審判に移行します。そのため、調停の段階から審判に移行した場合を見据えて、過去の裁判所の判断や実務の運用を踏まえた適切な主張と資料の提出をしていくことが必要になるのです。

書面や資料をたくさん出せばいいというわけではありません

調停で大量の書面や資料を提出する方がいます。
しかしながら、調停委員や裁判官が資料を読む時間は限られているのであり、大量の書面や資料を提出すると、却って言いたいことが伝わらなくなるリスクがあります。
また、調停で提出した書類は、ご自身に有利にも不利にも扱われます。離婚調停が不成立となって訴訟に移行した場合に、ご自身が提出した資料の一部がご自身に不利な事実を裏付ける証拠として使われてしまう場合もあるのです。
そのようなことを避けるためには、調停や訴訟の専門家である弁護士にご依頼することをおすすめします。

必要な主張や取り決めをせず、不利な内容の調停がまとまるリスクがあります

将来起こりうる事態を想定せずに、取決めをしてしまう場合もあります。
例えば、婚姻費用について、「離婚又は別居の解消まで毎月いくら支払う」としか取り決めをしないことがありますが、その時点で子どもが高校生で、離婚をしないまま、別居状態が何年も続いてしまったらどうなるでしょうか。
当事者間で婚姻費用の減額について合意するか調停を申し立てない限り、子どもが高校卒業後すぐに就職した場合や、大学に進学し22歳で大学を卒業した場合であっても、決められた婚姻費用を支払わざるを得なくなるのです。
また、住宅ローンや相手方のために支払っている費用を主張しないまま、婚姻費用や養育費の調停が成立してしまうケースも見受けられます。
調停で何を主張すべきなのか、何を取り決めておくべきなのかについて的確に判断できるか不安な方は、弁護士にご依頼することをおすすめします。